2012年3月期の連結決算で、パナソニックが大赤字なのだそうだ。
<パナソニック、赤字7800億円に…過去最大 – YOMIURI ONLINE>
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120203-OYT1T00789.htm
この中の理由で「世界的に薄型テレビなどデジタル機器の販売が低迷」とある。私は昨年、新居の内装工事をした。その時一緒に、パナソニックのプラズマテレビを購入したのだが、売り場には人が少なかった。テレビCMは結構やっていたわけだが、なぜ売れないのか?自分なりに考察してみた。
・3Dコンテンツが少ないのになぜか3D機能をゴリ押ししている
映画『アバター』以来、3Dが一般的になった。テレビも、3D機能が当たり前になって来た。下記URLのCMのように、パナソニックも3Dテレビをプッシュしている。
http://my.ku6.com/watch?v=j6kCQh9F52SFIh-K
このCMには登場していないが、テレビ番組の合間に流れていたCMには故ブルース・リーを起用していた。しかし、その3Dコンテンツはどこに売られているのか?テレビでは放送されていないし、街に出てもソフトが見当たらない。しかも、多くの中国人が買うのは未だに画質の悪い海賊版だ。このような状況で3D機能を押しても、みんな不要だと思うばかりだろう。それに、3D機能付きのテレビは値段が高い。
・ハイビジョン映像はそれほど求められていない
中国での一般的な家庭はケーブルテレビを視聴する。しかし、このケーブルテレビの機器にHDMI端子は備わっていない。中国で制作されるテレビ番組はまだ少し前の日本と同じで、画面比率4:3の走査線の少ないコンテンツが主流なのである。いくら画質にこだわっても、それが活かされる場面は少ない。日本だと、ハイビジョンが衛星放送でしか流れなかった時代を思い起こすとわかりやすいかもしれない。
・南向きの部屋では、昼間プラズマテレビの映りが悪くなる
日本ではあまりやらないかもしれないが、中国ではテレビをリビングの壁に掛けるのが一般的である。そして、リビングはほとんどが南向きに位置している。昼間はどうしても部屋が明るくなるので、プラズマテレビの表面が鏡面のようになってしまい、テレビの映りが極端に悪くなってしまうのである。遮光カーテンで日光を塞げばいいわけだが、流石にそこまでしてテレビを見たくはない。実際に取り付けた後がっかりした中国人は割と多いかもしれない。
・プラズマテレビと液晶テレビ、どちらか一種類にすべき
同じ売り場にプラズマテレビと液晶テレビを置いている。商品特性にそんなに差はないので、同じ売り場で選択肢を増やしても、実際に商品を選ぶ客が迷うだけである。
以上、パナソニックのテレビが中国で売れない理由を考えてみた。もちろん、韓国・中国製の液晶テレビの品質が上がって来て価格面で勝負できなくなって来ているというのはあるが、マーケティング・リサーチの不足感は拭えない。
広大な商品市場と果てしない需要があるのは間違いないので、パナソニックはじめ日本の家電メーカーには是非もっとがんばって欲しいと思う。