最近のインターネットについて感じること

 最初に自動車が発明された時、運転する人はとにかく自由でした。法規が存在しないのでスピードは出し放題だし、入って行こうと思えばどんな道にも入って行けました。しかし、自動車は役に立ちます。事業用途としてだけではなく、一般的な階層の人たちにも広がり日常的な足として使われ始めると、利用者を取り締まる法律が整備され厳格に適用されるようになりました。各国の環境に適した自動車専用の道路が造られ、車はその上で走るようになりました。自動車の台数も爆発的に増え続け、どこへ行くのにもスピードをフルに出すというわけには行かなくなりました。渋滞に嵌ればそこでの皆の振る舞いに合わせて大人しくしなければなりません。最初に存在した自由はほとんど残っていません。

 インターネットもこれに似たようなものではないかと思います。最初はほんの一部の人だけが自由に走り回っていたのですが、世の中の役に立つことがわかり利用人口が増えて行くと、法律が適用されるようになり、違反した人は取り締まられるようになりました。口吻を鋭くして思う存分言えた意見も、現実世界の平均的な発言と異質であれば指弾され、ことによっては糾弾される場合があります。ほんの10年前にあった自由は今ではほとんど存在していません。インターネットの空間は無限かと思えるぐらい広大に感じますが、各人が心理的に感じる居場所はどんどん狭くなって来ているような印象がします。知らない内に席替えが決まってしまった後のような居心地の悪さ、とでも言えば良いでしょうか。

 かつては自由な雰囲気に溢れていたインターネットでしたが、今では平均的な世間同様つまらなくなっているような印象します。特に表現の自由という面に関しては問題にされるスピードが速い分、現実世界よりも不自由な印象がします。

 あの自由をいつかまた味わってみたいとたまには思いますが、しかしもう無理でしょうね。人のいない、どこか遠くの星にでも行かない限りは。

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